ヒト、モノ、カネの流れに構造的な変化
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5年ごとに新たに人口1億の市場
狙うべきは富裕層
「揚長避短」戦略
中国の活力を活かすために 日本企業が中国を戦略的に活用していくための課題は、大きくわけて3つあります。 第一には、今後ますます巨大化していく市場をどう取り込むかを考える。わずか5年で日本の人口を超えるような市場が新しく生まれるのです。ここで、いかに優位なポジションを確保できるか。次が、中国の低コスト構造を活かすことです。さらには安価でかつ優秀な中国の人材活用を考えること。この3点をポイントとして、中国のエネルギーをいかに取り入れ、そこから最大限の利益を得ることを考えなければいけない。そう思いますね。 そして、中国戦略を具体化していくためには、情熱を持って中国市場に飛び込む気概が必要です。併せて、中国特有のカントリーリスクに目を配りながら、ビジネスに取り組んでいく冷静さも求められます。 日本の中でも、関西は歴史的に中国と縁の深い地域です。中国の王毅駐日大使の話によれば、大阪港で扱われる貨物の60%が中国関連であり、関西国際空港の外国向け発着便では中国が最多だと言います。この一件を見てもわかるように関西と中国の間にはすでにしっかりしたパイプがあると考えていいでしょう。 このパイプをさらに強固なものとし、いかにwin-winの関係を創っていけるか。そして「競争」ではなく、「共創」という意識で中国と向き合う。関西活性化のカギはこの点にかかっている、と私は思います。 * トップに戻る * ■脚注 ※1:所得格差 たとえば上海市民の平均所得はすでに5000ドルを超えている。一方で内陸部では1000ドルに満たない省がある。中国の今後の経済情勢については、こうした内陸部、西域の開発が大きな課題となっている。 ※2:BRICs ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)の英語頭文字をつなげた造語。米ゴールドマン・サックス証券が2003年10月に発表した投資家向け報告書「Dreaming with BRICs: The Path to 2050」のなかで初めて使用して以降、広く使われるようになった。この4カ国が現在のペースで経済発展をつづけると、2039年までにBRICsのGDPの合計が、アメリカ、日本、ドイツ、イギリス、フランス、イタリアのGDP合計を上回り、さらに2050年には、GDPの順位が、中国、アメリカ、インド、日本、ブラジル、ロシア、イギリスの順になると予想される。 ■プロフィール 沈 才彬 シン サイヒン テレビ・ラジオ・新聞・雑誌各メディアでの活躍のほか、企業や経済団体の講演で人気、注目を集めている中国経済アナリスト。 1944年、中国江蘇省生まれ。81年中国社会科学院大学院修士課程終了。同年、中国社会科学院大学院専任講師に就任。84年東京大学客員研究員。その後早稲田大学、お茶の水女子大学、一橋大学の客員研究員を歴任し、2001年より三井物産戦略研究所中国経済センター長。著書に『チャイナ・ショック』『動き出した中国巨大IT市場』『中国経済読本』などがある。 * トップに戻る *