【中国経済レポ−ト】
講演要旨 今年中国株価の高値圏は2500―3000
多摩大学教授 沈 才彬
2009年3月24日みずほインベスターズフォーラムにて
大手機関投資家等を対象とする講演会・みずほインベスターズフォーラム(みずほインベスターズ証券主催)は2009年3月24日、多摩大学経営情報学部教授沈才彬氏を招いて開催された。沈教授は、「中国は世界経済の最大のエンジンになる」を題とする講演の中で、「今年の中国株価・上海総合指数の高値圏は2500―3000になるだろう」という見方を示した。
今年に入ってから、日・米・欧主要国の株価は下落が続く中、中国だけは大幅な株価上昇を続けている。2月20日時点で、上海総合指数の年初来の上昇率は既に24.2%にのぼっている。ロシアマイナス17.3%、ドイツマイナス16.5%、日本マイナス16.3%、米国マイナス16.1%、フランスマイナス14.5%、英国マイナス12.3%、インドマイナス8.3%に比べ、中国の株価は「1人勝ち」の様相を示している。
今後、中国の株価上昇の勢いが続くか、それとも下落に転じるか。日本の投資家たちは個人・法人を問わず、皆、大きな関心をもっている。
まず、中国の株価上昇の背景について、沈教授は次の3つの理由があると分析している。1つ目は昨年の株価の下がり過ぎに対する反動。2008年上海総合指数の下落率は65%に達し、主要国の中でロシアに次ぐ2番目の下落率を記録した。こうした下がり過ぎた株価に対する自律反発で、いま中国の株価は上昇を続けている。
2つ目は中国政府の大型景気対策に対するマーケットのポジティブな評価。
リーマンショック直後、中国政府は4兆元(当時の為替レートで57兆円相当)にのぼる大規模な景気対策を発表し、迅速かつ強力な対応を示した。市場も株価の上昇という形で、政府の対応をポジティブに評価していると見られる。
3つ目は中国経済の見通しに対する投資家たちの期待感の表れ。景気の行方を先取りする株式市場は投資家たちの期待感と連動する形で、株価が上がり続けていると思われる。
なお、今後の株価動向について、沈教授は次のように指摘している。
@今年の中国株価は底割れの恐れがない。底は昨年11月15日に記録した年初来の最安値1702だった。
A今年の高値圏は2500―3000で、まだ上昇する余地がある。(注:実際、沈氏講演3週間後の4月14日、上海総合指数は2500突破)
Bこの高値圏に突入すれば、株価の調整局面も必ずやってくる。(注:実際、4月22日上海株式市場の終値は前日比2.9%下落の2461で、2500大台を割った)
要するに、今年警戒すべきことは株価の下がりではなく、株価の上がり過ぎである。上がり過ぎれば再び急落する恐れがあるからだ。