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【中国経済レポ−ト】
【中国経済レポ−ト】
中国ビジネスのリスク-浮上する中長期4つの懸念-

沈 才彬
『週刊東洋経済』2005年1月22日号

  中国ビジネスにリスクがあるのは事実。短期的には投資、銀行貸し出し、マネーサプライという三つのバブル懸念を抱えている。ここで注意したいのが中長期の懸念材料だ。

 「2006年問題」は不良債権問題。03年中国のGDPは日本の3分の1強だが、不良債権額は日本の1・1倍、不良債権比率は日本の2・3倍、不良債権総額がGDPに占める比率は日本の3・6倍に及ぶ。中国政府のWTOに対する公約によれば、06年に人民元取り扱い業務に対する外資規制を撤廃しなければならない。金融市場の開放で中国金融機関が持つ顧客と人材が外資系に流れ、不良債権問題がさらに悪化、金融危機につながるおそれがある。

 「08年問題」は台湾独立懸念のこと。08年には台湾総統選挙があり、中台関係の緊迫が予想される。同年は北京オリンピックの開催の年でもあり、オリンピックを成功させることができるか、中国には厳しい試練が待ち受ける。

 「10年問題」は政治民主化のリスクだ。改革・開放政策実行以降、これまで中国は経済の挫折を3度味わった。1981年、86年、89年。いずれも民主化運動の壁にぶつかった結果だった。実は経済的な側面だけで経済成長が頓挫したことは一度もなかったのだ。豊かになれば国民は経済の自由化のみならず政治の民主化を求めるのは歴史が証明する。過去、民主化を成し遂げたスペイン、韓国、台湾のように1人当たりGDPが2000ドルを超えたときが一つの節目。10年に突破したときが転換点になるのではないか。

 「15年問題」は石油危機のおそれを指す。15年の中国の原油需要は03年の2倍、原油輸入は同3倍に拡大すると見られる。安定的な原油供給が確保できるか、懸念される。



 

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